資産2,000万円はなぜ難しい?年代別の達成割合と4つの理由
資産形成資産2000万円積立投資
投資系のYouTubeやSNSを日常的に見ているあなたの金銭感覚は、いい意味でバグっているかもしれません。
あなたにとって資産2,000万円はあくまでも通過点かもしれませんが、30代単身世帯でこれを達成しているのはわずか5.9%。ほとんどの現役世代は、2,000万円の壁を突破できません。
この記事では、資産2,000万円の壁がなぜこれほど高いのかをデータとシミュレーションで整理した上で、そこを通過点と捉えられる人のすごさを再確認していきます。
資産2,000万円を達成している人はどれくらいいるのか
野村総合研究所が2年に1度発表している資産額ピラミッドの最新版によると、資産2,000万円は純金融資産3,000万円未満の「マス層」に位置します。ピラミッドで見ると一番下の層です。
一番下に位置するなら達成者はたくさんいるのでは?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査」(2025年)による年代別の達成割合はこちらです。
| 年代 | 単身世帯 | 2人以上世帯 |
|---|---|---|
| 20代 | 1.2% | 8.2% |
| 30代 | 5.9% | 12.5% |
| 40代 | 12.7% | 21.3% |
| 50代 | 15.9% | 26.9% |
| 60代 | 21.1% | 39.6% |
20代〜40代で資産2,000万円を達成する人は、ほとんどいないと言ってもいいのではないでしょうか。50代・60代になるとようやく割合が増えてきますが、これは60代で退職金が入ると一気に達成者が増えるためのようです。
そもそも毎月いくら積み立てれば届くのか
投資を活用して年利5%で運用できると仮定した場合、資産2,000万円に到達するために必要な毎月の積立額は次のとおりです。
| 目標期間 | 必要な毎月の積立額 |
|---|---|
| 10年 | 約13.0万円 |
| 15年 | 約7.6万円 |
| 20年 | 約4.9万円 |
| 25年 | 約3.4万円 |
| 30年 | 約2.5万円 |
10年で到達しようとすると月13万円が必要ですが、25年や30年かけられるなら毎月数万円程度の投資でも十分に射程圏内です。数字だけ見ると「なんだ、いけそうじゃん」と思えますよね。
それでも達成者はあれほど少数派です。つまり、この「安定した金額を積み立て続ける」こと自体が非常に難しいわけです。その理由をこれから見ていきます。
達成が難しい4つの理由
結論から言うと、理由はこの4つです。
- インフレに負けてしまう
- パーキンソンの法則
- ライフイベントの出費地獄
- 身の回りの人と同じ行動をとってしまう
理由1: インフレに負けてしまう
昨今はインフレのトレンドですよね。NHKの報道によると、2026年2月の消費者物価指数は前年同月比1.6%の上昇。ここ最近と比べると少し落ち着いた水準ですが、2022年・2023年頃から明らかなインフレ傾向が続いています。失われた30年と言われる長いデフレの時代を抜けて、ついにインフレ時代に突入しました。
では給料も一緒に上がっているかというと、物価の上昇に賃金の上昇は追いついていません。同じくNHKが報じている実質賃金指数の推移を見ると、インフレが始まった2022年・2023年頃から実質賃金は下がる一方です。名目賃金、つまり支払われる給与は少しずつ増えてはいるものの、物価の上昇に追いつかないのが現実です。
つまり、今まで通りの生活を続けているだけで、資産は増えるどころかジリ貧に追い込まれていくのが今の日本です。
その中で資産2,000万円を達成している方、これから達成できそうな方は、このインフレに負けずに資産形成を続けています。収入を株式や不動産などに組み替えてむしろインフレを味方につけたり、物価上昇に負けないよう収入アップの努力をしたり。これを続けるのは、本当に普通のことではないと思います。
理由2: パーキンソンの法則
ご存知の方も多いでしょう。パーキンソンの法則は「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」というものです。
もともとはC・ノースコート・パーキンソンというイギリスの歴史学者・政治学者が、政治の世界で「予算は膨らめば膨らむほど必ず使い切られる」ことを指摘した法則ですが、これが一個人の家計にもそのまま当てはまります。人間の本能に従うなら、収入が増えれば増えるほど支出も増えていき、貯蓄率は一向に上がりません。
さらに日本の企業は年功序列で給与が横並びの場合が多いですよね。自分の収入が増えるということは、隣の同僚の収入も増えるということ。給料が上がった同僚は、パーキンソンの法則に従って生活レベルを上げます。身の回りのみんなが生活レベルを上げているのだから、自分も少し贅沢していいかな——特に何も考えずに生活していると、生活レベルはじわじわ上がっていくのに、「自分は周りと比べて贅沢している」という自覚は生まれません。むしろ、ある程度節制しているとすら思っているかもしれません。
2,000万円を達成する人は、ここで大衆と違う行動をとります。本能に理性で抗い、収入が増えても生活レベルを維持する。しかも家計簿アプリなどで日々の支出を見える化して、1年前・5年前と比べて生活レベルが上がりすぎていないかを数値で管理する。そして余ったお金はコツコツ投資に回す。積み上げた元本は、10年後20年後にとんでもない仕事をする可能性があります。
これを当たり前のようにやっている方も、周りを見渡せば、それが普通ではないことに気づくはずです。
理由3: ライフイベントの出費地獄
結婚関連費用、マイホーム購入費用、お子さんの教育費。人生のステップを進めようとすると、なぜか莫大な支出が必要になります。
コツコツ貯められる方であれば1,000万円までは何とか到達できます。ただ、ライフイベントの出費によって、多くの方が500万〜1,000万円あたりで足踏みしてしまうんですよね。実際にシミュレーションしてみましょう。大学を卒業した23歳から働き始めて30歳で結婚、その後3年間はDINKS(共働きの子なし夫婦)で入金力を上げる、というモデルケースです。
| 年齢 | 出来事 | 資産額 |
|---|---|---|
| 23〜30歳 | 毎月5万円を投資(年利5%・7年間) | 約500万円 |
| 30歳 | 結婚費用で約200万円の支出 | 約300万円 |
| 30〜33歳 | DINKSで毎月10万円を投資(年利5%・3年間) | 約734万円 |
| 33歳 | マイホームの頭金500万円を支出 | 約234万円 |
新卒の頃から毎月5万円を投資に回せる時点でかなりの上位層、いわば資産形成のエリート層です。それでもライフイベントで出費を重ねると、33歳時点で資産は234万円まで戻ってしまう。この後も教育費など同じようなループが続くと考えると、2,000万円がいかに遠いか分かりますよね。
特に影響が大きいのはマイホームの購入です。頭金が大きい上に、その後も継続的なローンの支払いが続きます。資産価値が低い家を買ってしまうと、その時点で資産形成はかなり厳しいゲームになってしまいます。無難に行くなら賃貸でもいいですし、時間をかけて調査して値崩れしにくい物件を取得できれば、むしろ資産形成が一気にブーストする可能性もあります。いずれにせよ、住宅関連は資産形成における最大級のトピックとして慎重に判断したいところです。
逆に言えば、金銭感覚の合うパートナーと2馬力で取り組めれば、2,000万円は急に難易度の低い目標になります。2,000万円を達成する方は、こうしたライフイベントを勢いではなく、かなり計画的に進めてきたはずです。
理由4: 身の回りの人と同じ行動をとってしまう
これはここまでの3つのまとめとも言える理由です。資産形成において、みんなと同じ行動をとることは必ずしも正解ではありません。
みんながライフイベントで大きなお金を使っているからといって、同じように使えば大きな資産は築けません。会社に保険の営業が来てみんなが加入したからといって、自分も加入するのが資産形成として最適な手段かは分かりませんよね。
資産形成をうまく行かせるには、「みんなが右に曲がろうと言っているけれど、本当に右でいいのか?」と考える、少しひねくれた視点が必要です。大多数の言うことを疑い、自分が納得できた道を行く。有能な投資家には少しひねくれた性格の方が多いそうですが、周りと異なる行動をとって自分の信じた道を突き進めるからこそ、資産を築けるわけです。
銘柄選びも同じです。今はインデックス投資が覇権を握っていて、財務諸表を分析して割安株を探すアクティブ運用は肩身が狭いかもしれません。ただ、どちらが正解だったかは20年後30年後にならないと分かりません。インデックス投資が正解である理由を10個並べることもできれば、アクティブ運用が正解である理由を10個見つけることもできるはずです。大事なのは、自分の信じた道のために必要な情報をかき集め、納得して選ぶこと。それを続けてきた人が2,000万円に到達し、さらにその先へ行くのだと思います。
まとめ: 2,000万円を通過点にできる人
資産2,000万円の達成が難しい理由を振り返ります。
| 理由 | 乗り越える人の行動 |
|---|---|
| インフレに負ける | 資産を株式等に組み替え、インフレを味方につける |
| パーキンソンの法則 | 収入が増えても生活レベルを維持し、支出を数値で管理 |
| ライフイベントの出費地獄 | 特に住宅を計画的に判断し、勢いで大金を使わない |
| 周りと同じ行動をとる | 大多数を疑い、自分が納得できた道を選ぶ |
どれも人間の本能や世間の標準に逆らう行動です。だからこそ達成者は少数派で、30代単身世帯なら5.9%しかいないわけです。
もしあなたが2,000万円を達成している、あるいは達成に向けて積立を続けているなら、それは意識の高さと行動力の証明です。自分の現在地と目標までの距離は、積立シミュレーターの「毎月いくら?」タブで逆算できます。2,000万円という壁の高さを知った上で、自分のペースで淡々と積み上げていきたいですね。